腕の脂肪を除去したその後が心配…
「先生、脂肪を取り除いたあと、たるんでしまうことはないんでしょうか?」これは多くの方々が心配することであり、カウンセリングでしばしば質問をいただくことでもあります。
私たちの体は構造的に、まず骨格があって筋肉や内臓、脂肪などがあり、いちばん外側を皮膚が覆っています。そのため皮膚にくるまれた「内容物」である脂肪を取り除いてしまったら、余った皮膚がたるんでしまうのではないか…。こうした心配は確かにもっともでしょう。中でも、大量の脂肪吸引をご希望の方や、部位で言いますと二の腕や肩などの吸引をリクエストされる方などから、こうした質問をよく受けるものです。
ある程度のお年を召した方ですと、二の腕の衰えが目立つことがよくあります。「前へならえ」をするときのように腕を肩から水平に持ち上げると、ちょうど二の腕の下側がたるみ、まるで水を入れたビニール袋のように「たぷたぷ」としています。こうしたことを経験的に知っているために「二の腕を脂肪吸引すると、たるみが起こる」「二の腕の脂肪吸引は失敗しやすい」というような考えが生まれるのかもしれません。
二の腕の脂肪吸引でたるみが起こるのか
確かに二の腕の脂肪は層が薄く、的確に吸引を行うためにはそれなりの難しさはあります。解剖学的な基準はあるものの脂肪層の厚みや形状は人それぞれに違いますし、どのような仕上がりにするかによって、吸引のしかたも違ってきます。ですが二の腕だけが取り立てて吸引しにくいということはありませんし、失敗する危険が高いということはありません。実際に二の腕の脂肪吸引を体験した方ならばお判りでしょう。
先ほどの話にあった「二の腕の下側」、ここは肘を曲げ伸ばしするための筋肉が通っていますが、実生活においてはこの筋肉は大きな働きをすることはありません。ですからアスリートでもない限り、この部分の筋肉が発達していることはないでしょうし、そのためほとんどの方は、もともと「たぷたぷ」気味になっているはずです。
また、肩から腕にかけては脂肪が少ない部分であり、取ろうとしてもあまり多くの脂肪を取れるところではないのです。ですから特に二の腕に関して「たるみが出やすい」というのは、まったくの誤解なのです。
少ない吸引量でも痩身効果は得られるのか
さて、もともと脂肪の少ない部分から脂肪を取って、はたして希望通りにスリムになれるのか…。こうした不安をお持ちの方もおられるでしょう。ですが心配はご無用です。経験豊富な医師がていねいに施術すれば見違える効果を生むことができます。しかもベイザー脂肪吸引ならば脂肪を「かき取る」のではなく、細胞レベルで「遊離させて回収する」という手法で脂肪除去を行います。周辺の組織にはできるだけダメージを与えず、より効率的な吸引ができますから、理想に近いデザインに仕上げることができるでしょう。
大量の脂肪吸引では、たるみが発生するが…
二の腕に限らず、的確な手術を行う限り、現代は脂肪吸引が原因でたるみが発生することはほとんどありません。これはベイザーはもちろん、いわゆる脂肪溶解手術などでも同様です。厳密にいえば手術直後はたるんだ状態になっているはずですが、術後の経過の上で、問題になるレベルではありません。
ですが可能性で話をするならば、脂肪吸引でたるみが起こる場合はあります。それは大量の脂肪を一度に吸引した場合です。
医師の判断基準のうえでは、脂肪吸引で一度に除去できる脂肪の量には上限があります。これは具体的に「何グラム」と決められるものではないのですが、あまりに大量の脂肪を一度に除去してしまうと、ひどい腫れを引き起こしたり、健康を害することがあるのです。また患者様の状態によっては、急激な痩身に皮膚がついていけず、たるみとなって残ることがあります。ですがサイズダウンはできても醜いたるみが残ってしまうのでは、患者様は満足できないでしょう。
ですから大量の脂肪を除去したいという場合には、ある程度の間隔を空けて複数回の手術を行うことになります。さすがに日本ではあまり多くの症例はありませんが、肥満大国アメリカなどでは、こうした治療はしばしば行われているようです。数年越しで何度かの脂肪吸引を行い、最後にたるんだ皮膚を取り除く…。かなり大がかりな手術になりますね。ですがこうした例はごく極端な例です。脚でも二の腕でも肩でもお尻でも、一般的な脂肪吸引を行って、術後にたるみが残る、ということはまずありませんので、ご安心ください。
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