クリニックによっては、患者様を撮影してその画像をPC上で加工することで、仕上がりイメージをつかむ助けとしているところもあります。実は私も、こうした手法が有効なのではないかと導入を考えたことがありました。
ですがPC上の画像データは、単なる「一枚の絵」に過ぎません。脂肪層の厚さや筋肉の付き方、骨格の太さなど、手術に必要な情報は何一つ含まれていないのです。そんな画像データを操作しても、正確なシミュレーションなどできるわけがありません。医師の推量で「だいたいこれくらいだろう」という目安を示すことはできますが、そんなアバウトな情報を目に見える形で伝えたら、かえって患者様が混乱してしまうことでしょう。
現在のところ、仕上がりをイメージする最良の方法は「医師の診察を受け、カウンセリングの中で予測していくこと」、これに尽きます。多くの経験を積んだ医師であればなおのこと、コンピューター以上に正確な結論をはじき出してくれることでしょう。
デジタル技術は日々、途方もないスピードで進化しています。自分の写真を撮影してメールで送ると、10分後にはさまざまな整形プランとその仕上がりイメージが添付画像で送られてくる…。そんなサービスも生まれるかもしれません。
ですがたとえそんな時代が来たとしても、私は患者様との充実したコミュニケーションの中から、その人だけの美しさを探り出していく方法を選ぶと思います。
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