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クリニックの規模と実力は無関係
クリニックの中には、全国の主要都市に分院展開しているところもあります。こうした「大手」のクリニックはテレビCMをはじめ宣伝に力を入れていることが多く知名度も高いため、患者様から見ると信頼感を感じるかもしれません。ですが分院の数や知名度を高める広告などは、あくまでもクリニックの経営方針によるもの。技術力や美的センスなどとは、何の関連もありません。
一院だけで治療にあたるか、それとも各地に分院を置くか。これはクリニックの方針次第で、どちらが良いかは容易に決められません。それぞれに一長一短はあります。
たとえば全国の主要都市に分院展開しますと、地方にお住まいの方にとってはとても便利でしょう。クリニックを選ぶときの選択肢が広がりますし、相談に行くにしても気軽に出向くことができるはずです。
一方で、分院の数が増えれば所属する医師や看護士の人数も増えていきます。これら多くのスタッフの知識や技術力には、どうしても差が生まれてしまいます。定期的に研修や勉強会などを行ったとしても、医師の技術や美的センスなどはすぐに磨かれるものではありません。
分院の数が多ければ新たな設備の導入にもコストがかかりますし、ますます分院ごとの技術的な差が開いてしまう要因にもなってしまいます。
分院展開をしないのであれば、こうしたデメリットはなくなります。医師もスタッフも「少数精鋭」の体制で治療にあたれますし、新たな手術法の開発や最新機器の導入も積極的に行うことができます。そのかわり、一日に行える手術数には限界がありますし、地方にお住まいの方にとっては「遠くて行きにくい」ということになってしまいます。
このように、分院展開するかどうかはクリニックにとっても患者様にとっても一長一短で、どちらが良いか悪いかを単純に決めることはできません。ですが私自身は、分院展開をするつもりはありません。これは私自身の信念によるものです。
美しさを追求するボディメイクでは、患者様一人ひとりとじっくり向き合い、その人に合わせたていねいな手術が必要です。ですが分院展開をしてしまうと、こうした患者様との細やかなコミュニケーションがおろそかになりがちです。何よりも私はそれが気がかりなのです。
プロポーションの悩みを抱えた女性は、全国にいらっしゃいます。そうした方々のリクエストにお応えするためには、クリニックの全国展開も意味があるでしょう。実際に地方にお住まいの方々から「脂肪注入で豊胸したいんですが、近くにこれといった良いクリニックが見つからないんです」「ベイザーを扱っているクリニックがなくて……」という声が、しばしば聞かれます。
ですが私は一人の医師として、すべての患者様と向き合っていたいと思います。一人ひとりの患者様が抱えている悩み、置かれている状況、望んでいる未来……。それらすべてを理解し、解決策をともに探して、そのうえで納得のいく手術を行いたいのです。患者様と「向き合える距離」を保つためには、安易な分院展開はできません。
幸い、こうした私の姿勢に共感してくださる方々も多く、全国から患者様がいらっしゃいます。関東近県はもちろん、北海道や九州、沖縄、さらに遠く海外からも患者様は訪れてくださいます。そして私はすべての患者様と向き合い、悩みや希望に耳を傾け、カウンセリングを重ねます。
自分の目の届く範囲、手を下せる範囲内で、ていねいな手術を追求する。それは北村クリニックの開院以来、変わることなく抱いてきた私の理想です。だからこそ私は東京・八重洲の本院でのみ診療を行っているのです。
満足のいくボディメイクができるかどうか。それを考えたとき、クリニックの規模はあまり問題にはなりません。それよりも、クリニックのポリシーや医師の技量、人柄などを見極め、信頼できるクリニックを選ぶべきです。
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